044:中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ) |
百人一首の44番目の作品は、中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)の作品です。
中納言朝忠は、生没年が910年〜967年です。 本名を藤原朝忠(ふじわらのあさただ)と言い、25番でご紹介した三条右大臣・藤原定方の息子です。 三十六歌仙の1人です。 中納言とは、何度か出てきましたが、当時の日本の最高国家機関である「太政官(だいじょうかん)」の役職の1つです。 中納言朝忠が百人一首に残した作品は、、、 ♪ 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし です。 読みは、 ♪ あうことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし となります。 この歌は、前回43番でご紹介した権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)の歌に似ています。 ♪ 逢ひみての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり (あなたとふたりきりでお会いした、その後の、今のこの苦しさと比べたら、 会いたい会いたいと思っていた頃の恋のつらさなんか、なにも物思いをしないのとおなじようなものです) という歌でした。 中納言朝忠の歌は、 逢ふことの (あなたと会って、愛し合うことが) 絶えてしなくは(一度もなかったのならば) なかなかに (却って) 人をも身をも (あなたの不実さも私の辛さも) 恨みざらまし (こんなに恨むことは無かったでしょう) 2句の末尾の「なくは」と5句の末尾の「まし」が連携しています。 「〜なくは 〜まし」で、「〜なければ、〜だろうに」という意味になります。 中納言朝忠は愛し合っていた女性から突然の別れを告げられました。 その時の気持ちを詠んだ歌です。 「あなたと会って愛し合うことが、一度もなかったのならば、 却ってあなたの不実さも私の辛さもこんなに恨むことは無かったでしょう。 会ってしまったばっかりに、この苦しみにはとても耐えられません」 |