043:権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)
百人一首の43番目の作品は、権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)の作品です。

生没年は、906年〜943年。わずか37歳で亡くなった人のようです。

三十六歌仙に名を連ねています。

本名は藤原敦忠といいます。

権中納言とは、当時の日本の最高国家機関である太政官(だいじょうかん)の役職の1つです。

38番でご紹介した右近(うこん)と、恋愛関係にあった伝えられています。

右近が百人一首に残した作品は、、、

♪ 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな

だったわけですが、権中納言敦忠は右近への愛を神に誓ったそうです。

ところが、その誓いを破ったということで、天罰が下ったのかどうか、37歳という若さで亡くなりました。





権中納言敦忠が百人一首に残した作品は、、、

♪ 逢ひみての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり

です。

読みは、

♪ あいみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもわざりけり

となります。

この歌は、交際していた右近への想いを詠んだものです。

逢ひみての (あなたとふたりきりでお会いした)
後の心に  (その後の、今のこの苦しさと)
くらぶれば (比べたら)
昔はものを (会いたい会いたいと思っていた頃の恋のつらさなんか、なにも)
思はざりけり(物思いをしないのとおなじようなものです)

権中納言敦忠は右近に思いを寄せて「遭いたい、遭いたい」と思っていました。

そして、その想いが叶い、右近と一夜を共にしました。

そうすると、以前にも増して心が苦しくなったのです。

そのような苦しさに比べたら、昔の「遭いたい」と思っていた頃などは、

何も考えていなかったかのようだ、という歌です。

右近に対する愛がどんどんつのってゆくのを感じ取れます。





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