038:右近(うこん)
百人一首の38番目の作品は、右近(うこん)の作品です。

右近は生没年不詳の女性歌人です。

右近の父は、父は右近衛少将藤原季縄。

父の役職から「右近」と呼ばれました。

右近は、

・元良親王(百人一首:20番に登場)
・藤原敦忠(百人一首:43番に登場)
・藤原師輔
・藤原朝忠(百人一首:44番に登場)
・源順(みなもとのしたごう)

などと恋愛関係があったと伝えられています。





右近が百人一首に残した作品は、、、

♪ 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな

です。

読みは、

♪ わすらるる みをばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな

となります。

藤原敦忠は、右近への愛を神に誓っていました

ところが、藤原敦忠はその誓いを裏切ってしまいました。

その時の右近の想いを詠んだ歌です。

忘らるる    (忘れられた)
身をば思はず  (私のことは、どうでも良いわ)
誓ひてし    (けれど私への愛を神に誓った)
人の命の    (あなたの命が)
惜しくもあるかな(天罰により、無くなってしまうのは心配よ)

この歌には2通りの解釈があるようです。

@ 忘れられた私のことはどうでも良いわ。ただ天罰が下るあなたの命が心配よ(まだ、あなたのことを愛しているのよ)
  →愛に一途な女性の心。

A 忘れられた私のことは、どうでも良いわ。忘れられただけだから。
  でも神への誓いを裏切ったあなたには天罰が下るのよ。残念ね。
  →天罰が下って「いい気味ね」という気持ち。

天罰が下ったのかどうか、藤原敦忠は、37歳という若さで亡くなったのだそうです。





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