037:文屋朝康(ふんやのあさやす) |
百人一首の37番目の作品は、文屋朝康(ふんやのあさやす)の作品です。
文屋朝康は、生没年不詳の歌人です。 22番でご紹介した文屋康秀の息子です。 文屋朝康の生涯については、伝承があまり残っていないようです。 文屋朝康が百人一首に残した作品は、、、 ♪ 白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける です。 読みは、 ♪ しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける となります。 これは、文屋朝康が、草の葉に付いた水滴が秋の風で吹き飛ぶのを見て詠んだ歌です。 白露に (草の葉に付いた美しい水滴に) 風の吹きしく (風がしきりに吹いている) 秋の野は (秋の野は) つらぬきとめぬ(穴を開けて、紐を通していない) 玉ぞ散りける (真珠の玉のように散ってしまう) 平安時代にも真珠のネックレスがあったそうです。 真珠に穴を開けて紐を通しているわけですが、 この歌は、 ♪ つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける (穴を開けて紐を通していない真珠の玉のように散ってしまう) と歌われています。 僕はこの歌が大好きです。 草の葉に付いた水滴を「白露」と美しく表現し、 秋の風が吹いたために、「つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける」と、飛び散ってしまう様子を、 ネックレスの紐が切れて真珠の玉が飛び散ったかのように表現しているのです。 美しい歌ですね(笑) |