022:文屋康秀(ふんやのやすひで)
百人一首の22番目の作品は、文屋康秀(ふんやのやすひで)の作品です。

生没年は、???年〜885年?。

六歌仙および三十六歌仙のひとりです。

9番でご紹介した小野小町と交際していたとも伝えられています。

文屋康秀が役人として三河国に赴く際に、

「一緒に来てくれないか?」

と、小野小町を誘ったそうです。





文屋康秀が百人一首に残した作品は、、、

♪ 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ

です。

読みは、

♪ ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん

となります。

意味は、

吹くからに (山の風が吹き降ろしてくると、すぐに)
秋の草木の (秋の草木が)
しをるれば (しおれてしまう)
むべ山風を (なるほど、山風を)
嵐といふらむ(嵐というのだな)

「吹くからに」の「から」は、「〜するとすぐに」という意味です。

「吹くからに」は「吹くとすぐに」という意味になります。

「むべ」は、「なるほど」という感動を表しています。

「嵐」は「荒らし」の意味もあって、秋の草木を荒らす、

という掛詞(かけことば)になっています。

「らむ」は、推量の助動詞で「〜だろう」という意味です。

「嵐といふらむ」で、「嵐と言うのだろう」となります。

そして、これが上手いところなのですが、「山」に「風」と書いて

「嵐」という字になることで、ある種の遊び心を表しています。

平安時代には、漢字を分解したり組み立てたりして、遊ぶことが

流行したらしいです。




草木を枯らす厳しい山風が吹いてくる、という情景を詠いながらも、

漢字遊びをしていることで、どこかほっとする感じがしました。



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