008:喜撰法師(きせんほうし)
百人一首の8番目の作品は、喜撰法師(きせんほうし)の作品です。

喜撰法師は生没年不詳の僧侶です。

百人一首には、僧侶の歌が15首、収められています。




喜撰法師が百人一首に残した作品は、、、

♪ わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり

です。

読みは、

♪ わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうぢやまと ひとはいうなり

となります。

意味は、

わが庵は   (私の家は)
都のたつみ  (京の都のたつみの方角にあって)
しかぞすむ  (心静かに住んでいます)
世をうぢ山と (それなのに、世を憂いて宇治山に住んでいると)
人はいふなり (都の人々は言っているようです)

となります。

たつみの方角とは十二支の表現です。

東南だそうで、宇治山は京都から見て、東南の方角にあります。

「世をうぢ山と」の部分は、「世を憂」と「宇治山」の「う」が

かけられています。





喜撰法師が失恋して引きこもりになっているという噂が都で流れました。

それを知った喜撰法師は、噂を否定するかのように、

この歌を都に届けたそうです。





喜撰法師は、六歌仙の一人に名を連ねています。

六歌仙とは、平安時代初期の短歌の名人で

・在原業平(ありわらのなりひら)
・僧正遍昭(そうじょうへんじょう)
・喜撰法師(きせんほうし)
・小野小町(おののこまち)
・文屋康秀(ぶんやのやすひで)
・大伴黒主(おおとものくろぬし)

の6人です。

大伴黒主以外の5人は、百人一首に収録されています。

小野小町の作品は次回にご紹介いたします。




喜撰法師は、六歌仙の一人に名を連ねていますが、

作品として確かなのは、この、

♪ わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり

の歌だけなのだそうです。



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